愛知県立芸術大学 Aichi University of the Arts


芸術学について

5つの分野

日本美術史

縄文時代から近代にいたるまでの、日本の造形について学びます。美術史は、過去の美術作品を通して人を知る学問です。ただし主役は作者や鑑賞者といった人間ではなく、作品そのものであることが多いです。なぜこのような形で作られたのか、美術の歴史の中でどのような位置付けにあるのか…。造形について深く知ることが、その当時を生きた人々、作品を伝えてきた人々についても知ることにつながります。日本美術史を研究するには、作品の見方、調査方法やくずし字(変体仮名)の読み方を習い、文献や史料を集めて読解したり、考えを文章にまとめたりする訓練が必要です。さらに、日本画の顔料や和紙、仏像の木彫技術や彩色など、実際に手で触れることで技法・素材への理解を深めます。

西洋美術史

西洋美術史では、中世・ルネサンス以降、近代の印象派絵画までの、ヨーロッパの絵画・彫刻・建築の歴史を学びます。

西洋美術研究の基本は、実際に作品を観察し、そこから情報を読み取り、そしてそれらの作品が生まれた歴史的・文化的背景を理解することが必要です。いつ、誰がという基本的な解析技術と同時に、なぜその作品が生まれたのか、さらにはその作品がいかなる歴史を辿ってきたのかを知ることは、これからの美術の将来を見据えることでもあります。

西洋美術を学ぶためには、英語に加えて、第2外国語(イタリア語、フランス語、ドイツ語)の習得が重要です。

現代アート論

現代アートの分野では、主として20世紀から現在までに活躍したアーティスト、及びこの時期に勃興したアートの運動(ムーブメント)や主義(イズム)、さらには、アーティスト自身あるいは批評家や評論家による、現代アートについての美学、批評、思想について学びます。

また現代アートの歴史は、美術史を更新し続けてきましたが、いわゆる「前衛芸術」の誕生から1世紀以上経過した今、それらの歴史(美術史)的・実証的研究も重要度を増すとともに、そうした現代アートを取り巻く、批評(家)やキュレイターや美術館やビエンナーレ等の歴史やその意味についても、深く尋ねられるようになりました。

今日において、アートがいかなる意義を持っているのかということを、多数の角度から問い続けるのが、現代アート研究の特徴です。

美学

美学とは、「美とは何か」、「芸術とは何か」、「なぜひとは美しいものに憧れるのか」、「なぜひとは芸術作品の創作へと駆り立てられるのか」、「芸術にとって必要なのは天才か、それとも趣味か」などといった、人類が絶えず追い求めてきた古くて新しい問題について、みずから考察してゆく学問です。

そのような美学は、もともと哲学の一部門でした。そのため美学では、古代ギリシアから現代にいたるまでの主要な哲学者や美学者たちの思想を学びつつ、みずから思索する力を陶冶してゆくことをめざします。英語やフランス語やドイツ語の学習も大切となります。

文化財学

「文化財学」という学問分野の定義は非常に難しいのですが、ここでは、博物館学、保存修復と保存科学の三つを指す分野として紹介します。博物館学とは、もちろん美術館や博物館の制度、歴史と目的、その学芸業務のあり方から未来を見据えた収蔵品の保存研究と社会との関わりを総合的に考えてゆく分野です。それに対し、保存修復は専門的特殊技能です。美術品に限らず、保存環境によってさまざまな劣化を起こす文化財は、一方で人為的な破壊も被ります。こうした損傷を受けた貴重な文化財をいかにして後世に伝えるか?被害を最小限に抑え、それが拡大しないように処置をする。それが保存修復の基本です。保存科学は、保存環境から、使われている多様な材料の分析や光学調査などを専門的に行なう領域です。つまり、学芸員は文化財の内科医、保存修復は外科医、そして保存科学は病理学医の役割を担って、貴重な文化財を後世に伝える使命を負っているのです。歴史学、実践的修復技術と高度な調査技術のすべてを求められるこの分野を極めるためには、留学も視野に入れた、さらに高度な研究機関への進学が必要となります。