研究室概要
私は西洋美術史、特に15世紀及び18世紀イタリア絵画の研究を専門としています。そもそも、西洋、東洋・日本を問わず、美術は美術だけで成立・展開してきたわけではありません。絵画や彫刻の主題は哲学や文学の伝統に基づくものもありますし、またとりわけ17世紀から18世紀のヨーロパ美術は音楽とも密接に関係してきます。
西洋の美術を深く理解するために、こうした哲学、文学、音楽など、古典や同時代の様々な文化現象との関わりの中で、あるいはむしろ、それぞれのジャンルの垣根を越えて、作品そのものを読解しようという研究を続けています。まさに、18世紀以前のヨーロッパの芸術論が、文学、美術、音楽を姉妹であると考えていたことの根幹を、個々の作品研究を通して理解しようと、日々努力しています。
もちろん文学と美術は主題の典拠として直接的な関係をもちますが、音楽と美術の相互関係も研究のテーマにしています。ジャン=ジャック・ルソーは「音楽の方が絵画より、より絵画的である」と解釈できるような言葉を残しています。絵画的音楽、音楽的絵画とは何かを真剣に考えています。
博士前期課程
美術総合研究
- 西洋美術史
主として院生が自ら研究のテーマとした分野に即して、必要な外国語文献の購読や討議を通じて、研究内容と目的に即した方法論の用い方や作品からの情報の読み取り方を身につける。
- 各自が選んだ研究テーマに即して、専門的知識を習得する。
- 西洋美術史に関連する他分野の知識を身につける。
- 美術史的観察眼と、論理的情報解釈の能力を高める。
- 美術史的観察を他者に的確に説明するプレゼンテーション力と文章力を高める。
美術特別研究
- 西洋美術史特殊研究A・B
院生の研究テーマに合わせ、英語、イタリア語、ドイツ語(あるいは必要に応じてラテン語)などの原典テクストの講読を通して、単に語学力や美術史的専門知識だけではなく、ディスカッションをしながら、文学、哲学、キリスト教神学についての専門知識を高める。
- 西洋美術史、古典、キリスト教に関する英語、イタリア語、ドイツ語、ラテン語の専門的な語学力を高める。
- 西洋美術史の専門的な方法論を学ぶ。
- 作品から読み取られた情報の意味を解釈する論理性を高める。
- 自らの思考過程や観察、解釈を先行研究を整理しながら、ディスカッションの中で的確に口述できるようにする。
博士後期課程
- 博士総合研究Ⅰ-Ⅲ
- 博士理論研究Ⅰ-Ⅱ